top of page

Blog

この記事は瀬戸内分校プロジェクトをサポートする香川大学創造工学部メディアデザインコース柴田研究室の学生たちと共同で作成しています

Day4 鉾井班 リサーチ ~自分から、相手から見て~

2022年8月25日 午後


4日目の午後からは、各アーティストと高校生のメンバーからなる班で別れて、班ごとに別行動でリサーチを行いました。このリサーチは、最終日まで続きます。これからの一連の記事では、東京芸術大出身アーティストである鉾井喬さんの班にフォーカスしてDay4からDay6までの記事をまとめていこうと思います。そして、この記事は鉾井さん班のメンバー兼助手である奥野が担当させていただきます。


鉾井喬さんってどんな方なのだろう?という方に向けて、説明させていただきます。

鉾井さんは、2010年に東京藝術大学大学院美術研究科を修了し、2016年から同大学のデザイン科立体工房で非常勤講師をされています。筑波大学時代には、人力飛行機サークルに所属し、鳥人間コンテストに参加しました。パイロットとして空を飛んだ際、わずかに存在する風に飛行機が翻弄された経験から、現在では見えない風を可視化することを作風としています。また、NHK福島局のカメラマンとして就職し、東日本大震災の際は仙台平野を襲う津波をヘリコプターから空撮中継。その後の福島県知事の会見にて、自身が暮らしていく際に必要なるエネルギーがどこから来ていたのかを認識し、エネルギーと自然の関係性を問うことも作品のテーマにされています。



:鉾井さんとピンホールカメラの写真


Day4午後の最初は、本プロジェクトの展示場所である池戸公民館で、これまでのリサーチの感想と、これからの取り組みについて話し合いました。


:みんなで集まって感想会&今後の予定決め。池戸公民館はフローリングの質感もいい。


感想について多く挙がったリサーチは、Day3に豊島で行われた喜多船長のお話です。これまでゴミはゴミとして認識していた固定観念が、いつからモノがゴミに変わるのか?誰かにとってそのゴミはゴミではないのではないのか?というように認識の角度を変えることによってゴミの見方が変わったという意見が多くでました。また、様々なリサーチの中で出現する「恵比寿さん」という神様など、地理や文化など様々な知識を多角的に取り込んでいく中で、点と点がつながる感覚があることが面白いという意見もでました。また、鉾井さんの感想では、水の流れを起点に、流れの速さは今も昔も変わっていないが、それを扱う人間の営みの速さは変化しているとおっしゃっていました。勝手ながら、水というエネルギーとそれを扱う人間社会についての関係が、鉾井さんのテーマっぽいなと感じました。そして、アーティストの方は常に感受する際に、自身のテーマに対してどのように捉えることができるのか、というフィルターセンサーが働いているのだと感じて、とても参考になりました。


そして、これからの予定についての話し合いでは、鉾井さんの「なにか作品つくりたくないか!?」という呼びかけで、5日目以降は、高校生のメンバー個人個人でリサーチのアウトプットを表現していこうということになりました。


以降の予定は


Day4 ・・・ 展示会場の採寸、三木町散策

Day5 ・・・ 鉾井さんによる高校生へのインタビュー、作品制作

Day6 ・・・ 作品制作、発表


となります。


みんなで感想を話し合った後は、展示会場の寸法を測りました。

展示会場である池戸公民館には敷地内の庭に蔵があるのですが、そこで採寸を行いました。この蔵は、もともと蚕の繭が孵化しないために低温保管するための蔵だったそうです。蔵の一階と二階はともに地面・壁・天井が金属板で覆われており、公民館の管理をしている人曰く、年中を通して氷によって冷やされた明かりのない場所だったそうです。実際に入ってみると、蚕を保存していた部屋には、金属製の分厚い扉がついており、温度を一定に保とうとしていたことがわかります。蔵の窓は、当時のものと思われる新聞紙でおおわれており、高校生のメンバーも見慣れない物・場所でテンションが上がっていたように感じます。メジャーの正しい測り方なども教えていただき、採寸は20分ほどで終わりました。


:メジャーを持つ高校生メンバーと、その寸法をメモに書き込む鉾井さん


:いつの新聞でしょうか。


その後は、三木町散策を行いました。ルートは池戸公民館から男井間池までの往復で、地元に住む高校生の視点と寄寓者(一時的に外部から訪れた人のこと:歴民での講義で出てきたので使います)である鉾井さんとの視点の違いを交えて、普段何も考えず道を歩くこととは少し違う、異文化交流的で面白い話ができました。タニシがたくさんいる、お地蔵さん用の小屋がある、水不足の県にしては水路の水量が豊富だ、などいろいろな話をしながら男井間池につきました。男井間池につくと、鉾井さんは「惜しいなぁ」とおっしゃっていました。どういうことなのかと高校生が尋ねると、「ため池をため池で終わらせている」とのことで、様々な催しが行われている瀬戸内の海に対して、ため池が有効活用されていないことにもったいなさを感じているということでした。高校生メンバーは、そのようなことは考えもしなかったらしく、この散策では、高校生にとって日常的に見えている香川の風景を客観的にとらえなおすキッカケのようなものが多く会話の中で生まれた気がしました。


:散策したとき時の写真


その後は、池戸公民館に帰って、解散しました。Day1~3まで、班として活動することはありました、今日は初めての班での独立行動だったので、とても濃密な会話というインタビューが双方で行えたような気がします


明日Day5から鉾井さん班は今回のリサーチのアウトプットを行うことになります。どんな作品ができるのかとても楽しみです!

bottom of page